お気に入りのものを買うには、まずは、気にいるものとの出会いが大切ですよね。
インターネットが無い時代には、いろんなお店を探し回ったり、遠くのお店まで行ったり、今よりもずっと大変だったようです。私のように田舎に住む人間ならばなおさら、地元では手に入らないものをわざわざ上京(死語?)するとかして、出会うまでの苦労があったと聞きます。出会うまでが大変だからこそ、手に入れた時の喜びも大きいし、所有していることが自慢にもなったのだと思います。
インターネットは探し出す力をものすごく強化してくれたわけだけど、便利さとひきかえに、手に入れる喜びは薄らいでしまいました。つまり出会うまでの苦労が無くなった分、単に「欲しいものを手に入れて使う」というだけになってしまった。
ネットショップは私の欲しがるものを探し出して、次々にレコメンドしてくれます。レコメンド機能が進化するほどに、便利にはなるけれど、出会いの喜びは失われて行きます。
ところで世の中には、欲しいものを自分で考えて作る、という人もいます。
昔は、素人が自作したところで、自分で使うか、ごく近しい人にあげるかしかありませんでした。
ですがインターネットが探しだす力をものすごく強化してくれたお陰で、私が作ったオリジナル品を、はるか遠くから見つけ出して「欲しい」と言ってくれる人が現れる時代になりました。自分が良いと思って作ったものを、見ず知らずの誰かが気に入って使ってくれる。承認欲求を何よりも満たしてくれる話ですよね!
そしてこれからは、レコメンド機能やマッチング機能がさらに進化するので、地球の裏側からでも私の作ったものを「欲しい」といってくれる人が、もっと現れやすくなるはずです。
つまり、技術の進歩によって、「誰かの作ったものを自分で使う喜び」は小さくなっているけれど、代わりに「自分の作ったものを誰かに使ってもらえる喜び」はものすごく広がっている、ということです!
これからは、オリジナル品を作るためのデジタルファブリケーションや、いろんなスキルを持った人どうしで協働する仕組みが、どんどん充実してきます。時間的なゆとりも精神的なゆとりとも手にして、承認欲求や創作欲求を満たすための活動をする人が、どんどん増えてくるでしょう。つまり「労働の対価はいらない、自分の欲求さえ満たせれば」と考える人によって、無償の生産活動が多方面で活発に行われるようになります。そうなれば誰もが、お金をかけずに豊かな暮らしを送れる時代になるはずですよね!